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【1回戦】vs 海草中
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全国制覇【特別記事】:第24回全国中等学校野球大会

第24回全国中等学校野球大会 vs 海草中

1938/8/14  1回戦
甲子園球場
vs 海草中(和歌山)
TEAM 1 2 3 4 5 6 7 8 9 H E
海草中 1 0 0 0 0 2 0 2 0 5 4 3
平安中 0 0 0 0 0 0 1 3 2x 6 5 2
海草中:嶋、松井、嶋―皆岡
平安中:広瀬―上村

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平安、9回にサヨナラ逆転 大会屈指 嶋投手を打ち砕く
海草中の投手嶋は昨年来より定評があり、その速球は中学有数のものと見られる。これに対抗する平安の広瀬は、球速は嶋投手に及ばずとも制球力を武器とする。
海草中は1回、巧みに足を利用しスクイズにより1点を先取。続いて6回には、平安の失策・死球・捕逸の後、皆岡が三塁線を痛打し2点を加えた。
これに対し平安は7回裏、雁瀬の執念とも言える右中間二塁打を足がかりに上村の犠打で1点を返し反撃の体勢を整えた。
ところが海草中は8回表、またしても平安のエラーと四球により2点を加算し、5-1とリードを広げた。反撃を迎えた後のこの失点は重く、また好投手嶋を相手に4点のリードを与えた事にスタンドからも平安への同情の声が聞こえ、誰もが平安の勝利を絶望的と感じた。
だが、平安は最後まで試合を捨てず堂々と戦った。その気力が奇跡的な逆転を呼ぶのである。8回裏、古家、木村進の好打で2点をあげ5-3と詰め寄ると、流石の好投手嶋も動揺を見せ始め、続く雁瀬に対し四球を与え満塁としたあと次打者広瀬に対しても四球を与え押し出しの1点が入った。
9回裏に入っても嶋の制球は定まらず、先頭の天川、8番木村実に対し連続四球を与えたところで嶋は救援を余儀なくされた。スコアは5-4、平安は救援の松井に対してもボールを慎重に見極め、古家が四球で出塁し無死満塁とした。ここで打席に入った保井の一打は遊ゴロとなったが、セカンドへの送球に2塁手が落球し、この間に3塁ランナーが生還し平安はとうとう同点に追いついた。
龍谷大平安硬式野球部応援サイトこうなれば、ペースは既に平安にあり、再びマウンドに上がった嶋投手から2番須山がカウント2-1と追い込まれた後、見事に投手頭上を抜く安打を放ち逆転勝利をおさめた。

好投手を臆すること無く、最後まで勝負を諦めなかった平安に勝利がもたらされた。

平安はこの勝利を皮切りに、Vロードを歩むことになる。
雁瀬主将はこの試合に関し、のちに次のように述べている。
『大会劈頭に引き当てた相手は優勝候補の名も高い海草中学であった。しかし、これが却ってナインの闘志を倍加させ、戦いは劈頭からリードされて相当苦闘を続けたが、我がナインの不撓不屈の精神によって、遂にこれを反撃することが出来た。この海草の一戦こそ貴い経験となり優勝をもたらす原因となり、また最後まで試合を諦めなかったことが今日の喜びとなったもので、この試合より選手は一層自信を固うするようになった。』

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